『復刻・台風との斗い』再版出来

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    復刻・台風との斗い
このたび、ながらく品切れとなっていた『復刻・台風との斗い』を再版しました(2020年9月。初版は2011年5月発行)。

原本『台風との斗い(青函連絡船遭難体験記録)』は、洞爺丸事件の生き残りの各部海技者によって書かれたもので、事件1年後の1955(昭和30)年に国鉄青函船舶鉄道管理局より発行されました。

洞爺丸事件とは、1954(昭和29)年9月26日、台風15号により、洞爺丸、第十一青函丸、北見丸、十勝丸、日高丸の5隻の青函連絡船が沈没、あわせて死者・行方不明者1430人となった青函連絡船史上最大の海難です。台風15号が、のちに洞爺丸台風と呼ばれるようになったこともあり、洞爺丸1隻だけが強風浪の中を航行して沈没したと思っている人も多いのですが、事実は違います。5隻の連絡船は運航を休止し、函館港に錨をおろして避泊した状態で遭難しました。それぞれの船は、でき得るかぎりの気象情報を収集し、最善と考える判断を行い、最悪の事態に備え、最後まで操船につとめ、そして力つきました。

『台風との斗い』は、当夜の遭難の状況と、最後まで職場を死守し、船と乗客のために奮闘する乗組員の様子が詳しく綴られたものです。本書『復刻・台風との斗い』は、原本の紙面をそのまま複写しましたが、読みやすさを考えて少し拡大し(原本はB6判、本書はA5判)、記述内容で事実と異なっていたり説明を要すると思われる部分には傍線をひいて余白に訂正・説明を入れ、巻末に遭難5隻の当日の乗務船員名簿を加えました。なお、再版には、元JR北海道社長・中島尚俊氏(故人)より序文、現JR北海道社長・島田修氏より跋文をいただきました。

また、函館市青函連絡船記念館摩周丸で展示している「台風との斗い」のポスター(洞爺丸事件当日の函館港内にいた各船の状況、台風の進路や特徴を解説)の縮刷版(冊子)も増刷しました。あわせてご覧いただければ幸甚です。


『復刻・台風との斗い』(税込2000 円)と、冊子「台風との斗い」(税込300 円)は、函館駅2階の「船と鉄道の図書館いるか文庫」と摩周丸売店で販売しています。
通信販売は いるか文庫ライブラリーショップ まで